落ち葉に秋の深まりを感じるこの時期は、ワインが恋しくなる方も多いはず。
そんな中、間もなくボージョレ・ヌーヴォーの解禁日がやってきます。 今回は、意外と知られていないボージョレの魅力をご紹介したいと思います。
♢『ボージョレ・ヌーヴォー』とは
フランス、ブルゴーニュ地方・ボージョレ地区で造られた新酒のことで、ヌーヴォーとはフランス語で「新しいもの、新しいこと」という意味です。
その年の9月ごろに収穫した「ガメイ」という品種の葡萄を潰さずに短期間で発酵させるため、渋みの少ないフレッシュでフルーティな味わいのワインに仕上がります。
♢実はあまり知られていない『ボージョレ・ヌーヴォー』の魅力
11月の第3木曜日に世界各地で解禁になるボージョレ・ヌーヴォーは、日本ではお祭りのようにパーティーをして盛り上がるイベントで飲まれるワインのイメージが強いと思います。
ですが、元々はワイナリーの方や地元の人達が1年の実りと苦労を労い祝う「収穫祭」で飲むための地酒でした。
なので、ボージョレ・ヌーヴォーを飲む時には、今年も美味しいワインを造ってくださった皆さんへの感謝とお祝いの気持ちを込めて、新酒ならではのフレッシュさを純粋に楽しんでくださいね!
♢ワインラヴァーとして知っておくべき『ボージョレ』の魅力
ボージョレと聞くとヌーヴォー(新酒)のイメージが強すぎるため、ボージョレ=若くて軽やかなワインばかりだと思われがちですが、実はボージョレにも渋みのある比較的しっかりとした味わい深いワインまで幅広くあるのです。
その中でも、特に高品質な葡萄を産み出す10区画として認められている「クリュ・デュ・ボージョレ」は長期熟成にも向いているワインも多く造られており、素晴らしい熟成を遂げた「クリュ・デュ・ボージョレ」のワインは、上質なブルゴーニュ・ピノノワールと間違えてしまう程のエレガントさを発揮します。
奥深いガメイの魅力をぜひ一度お試しいただきたいです。
きっとボージョレの印象が変わりますよ!
♢『ボージョレ・ヌーヴォー』を選ぶ時のポイント
昨今は様々な造り手のボージョレ・ヌーヴォーが飲めるようになりどれを選んでいいのかわからなくなりますよね。
同じ品種でも造り手によって味わいが変わるのも楽しみの1つなので、ぜひ色々飲み比べて自分好みの造り手を見つけて頂きたいのですが、タイプの違いだけで選ぶ上で分かりやすいポイントとしては、「ボージョレ・ヌーヴォー」か「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー」かの違いです。
この違いを簡単に説明すると、ボージョレ地区で採れた葡萄で造られた新酒ですよ!というものが「ボージョレ・ヌーヴォー」、ボージョレ地区の更に特定された村で採れた葡萄で造られた新酒ですよ!というものが「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー」なのです。
ヌーヴォーらしいフレッシュさと軽やかさを楽しみたい方は「ボージョレ・ヌーヴォー」を、フレッシュさに加えてより芳醇さを味わいたい方は「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー」を選んでみてください。
♢『ボージョレ・ヌーヴォー』に合うお料理とは?
さて、そんな幅広い魅力の「ボージョレ・ヌーヴォー」にはどんなお料理が合うのでしょうか。
マリアージュにはいくつかの合わせ方があるのですが、その中の1つにワインのタイプとお料理のタイプを合わせるという方法があります。
つまり、軽やかなワインには軽めの食事を、重めのワインにはしっかりとした味わいの食事を合わせていくのです。なので、ヌーヴォー(新酒)には、生ハムやサラミのようなシャルキュトリーがベストマッチします!
サーモンマリネ、マグロやカツオなどの赤身の魚を使ったカルパッチョにも合いますし、チェリートマトを使ってアクアパッツァもいいですね。
お肉ですとチキンをローズマリーなどのハーブでソテーしたものや、ローストビーフをサラダ仕立てにしてベリーソースをかけたものもよく合います。
意外にも和食との相性も良く、焼き鳥や、出汁の効いた寄せ鍋との気軽なマリアージュも面白いですよ!
ぜひ色々なマリアージュを楽しんでみてください。
♢最後に
2020年は世界中が混乱と不安に包まれ、多くの方にとって大きな転機の年になったかと思います。
そんな中でも葡萄を育て上げ、産み出されたワインはどんな味わいなのでしょうね。
造り手への感謝と、2021年の新たなスタートへの希望と期待を込めて、今年の『ボージョレ・ヌーヴォー』はじっくり味わいたいと思います。
乾杯!
ソムリエール 真鍋 摩梨